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掲載日:2022年3月31日

Visual Studioのライセンス・エディションの違いと
中小企業へのおすすめライセンス

システム開発の現場において今も第一線で使われるVisual Studio。
数多くの言語に対応し、Windows用アプリケーションはもちろんWebやモバイル、ゲームまで幅広く開発を行うことができます。
開発規模によらず使えることから中小企業でもIDE(統合開発環境)として採用することが多いようです。

このVisual Studioにはよく知られているようにいくつかのライセンス形態があります。
本稿ではどのようなライセンスがあるのか、各エディションの違いはどこか、中小企業はどのライセンスを選択するべきかなどについて説明します。

Visual Studioの現状

Visual Studioと言えば誰もが知っているIDE(統合開発環境)であり、その認知度はトップクラスといえるでしょう。
2022年3月時点での最新バージョンはVisual Studio 2022となっています。

Visual Studio 2013 Update 1以降から組み込まれたGitとの連携はより強固となり、独自のリポジトリをクローン、作成、オープンするためのGitバージョンコントロールのサポートが組み込まれました。

近年は生産性向上に力を入れているようで、変数名、関数、作成中のコードの種類などを理解する強力な自動コード補完ツールや、Live Shareによるリアルタイムコラボレーションセッションなどを実現してコーディングの高速化とスマートな作業環境を提供しています。

またUnityとの相性が良いためゲーム開発にも使われるようになっている他クロスプラットフォーム開発もサポートしており、各プラットフォームに対応したクロスプラットフォームアプリを開発することも可能です。

現在提供されているライセンスの種類

大きく分けるとVisual Studioのライセンスには、パッケージ版とサブスクリプション版が存在します。
その中でもパッケージ版には、条件付きで無料での利用が可能なライセンスもあります。

パッケージ版のメリットはライセンス費用が安いことと買い切りなので追加費用がかからないことです。

デメリットは、購入したバージョン以外は利用できず、アップデートもできないことになります。
対応言語などの面から、特定バージョンのみの開発で問題ない場合などは気にする必要はないかと思われますし、自社で利用する社内向けアプリの開発などであれば、こちらのパッケージ版でもあまり大きな問題はないかもしれません。

一方、サブスクリプション版はVisual Studio ProfessionalとVisual Studio Enterpriseとが提供されています。

サブスクリプション版を購入するメリットはVisual Studio IDEの過去バージョンを利用できるほか、Azure DevOpsのすべてのサービスを利用できることです。
これにより、特定環境に合わせた開発を行うことが可能になります。

デメリットは、パッケージ版に比べコストが上がってしまうことです。
しかしバージョンごとに都度購入するコストと比べると、場合によってはデメリットとまでは言えない可能性もあります。
様々な制約や、開発要件にバージョンの指定が含まれる受託開発を行う場合については、こちらのサブスクリプション版が便利です。

パッケージ版のVisual Studio各エディション(Community、Professional、Enterprise)の違いについては以下の通りになります。

Visual Studio Community

Webアプリケーションとクラウドサービスだけでなく、Windows、Android、iOS向けのモダンアプリケーションを作成するためのフル機能を装備した、拡張可能な無料のIDE。
基本的には有償であるVisual Studio Professionalとほぼ同等の機能を利用することができます。
利用する条件としては以下をすべて満たすことが必要です。

  • 非エンタープライズ組織であること(以下の2つの条件を満たす企業が該当します)
    • PC250台超の組織
    • 年間収入が100万USドル超の組織
  • 5ユーザー以内であること
  • 委託開発での利用がないこと

Visual Studio Professional

個人開発者や小規模なチームを対象とした、プロフェッショナル開発者用ツールとサービスが提供されます。
商用利用で一般的に使われているライセンスです。
Visual Studio Communityとほぼ同等の機能ですが、PCの台数制限などはなく開発を行うことができます。

Visual Studio Enterprise

品質およびスケールについての厳しいニーズに応える必要のある、あらゆる規模のチームで利用できるエンドツーエンドの統合ソリューションです。
ライブ依存関係検証やIntelliTrace、強力なテストツールを搭載したライセンスであり、加えてVisual Studio for Mac が付属していてMacでもWindowsと同じ環境での作業が可能になっています。

サブスクリプション版については過去販売された数多くのバージョンが自由に使えるほか、特典としてAzure DevOpsが利用できたり、Azureクレジットが提供されたりするなど、多くのメリットが付属します。

中小企業で購入する場合のおすすめライセンス

中小企業でライセンスを購入する場合、大きく3パターンが想定されます。

  • 小規模情シス部門(5人以内)の内製用

    もし社内のPC台数が250台以内、もしくは売上高が100万USドル以内の場合は、Visual Studio Communityがおすすめです。
    ただし今後、組織の規模を拡大する予定があればProfessionalライセンスの検討が望ましいでしょう。

  • 中規模情シス部門(10人程度)の内製用

    この規模になるとProfessionalライセンスが必要になります。
    ユーザー数が非エンタープライズ組織に該当してしまうため基本的にはライセンス上Communityは利用不可です。
    ただしオープンソースライセンスの開発を行う場合であればCommunityライセンスでも問題ありません。

  • 受託開発もしくは自社でのサービス開発用

    サブスクリプションモデルの購入が最適です。
    ユーザーの環境に合わせた検証環境の用意やデバッグ等を考えると過去の環境を構築できるサブスクリプションモデル一択と言えます。

なお、すでに過去のバージョンを利用しており更新のタイミングで新しいバージョンに切り替える場合には、「プロジェクトのバックアップ」と「移行前の整合性」の確認を行っておくように、とMicrosoftから注意喚起が行われているので気を付けましょう。

自社の社内環境とビジネスモデルを考えて最適なライセンス選択を

Visual StudioはIDE(統合開発環境)なだけあり、決して安い金額のライセンスではありません。
結果としてきちんと自社の状況を把握したうえで適切なライセンス選択を行わないと、無駄なコストをかけてしまうことにもつながりかねない製品です。

ライセンス条項をしっかりと確認したうえで、自社がどのライセンスを選択するべきか検討を行うことが重要です。
もし詳細を把握しきれていない場合は、自社に適したライセンスは何か、数多くの販売実績を持つ代理店へ相談してみるのも選択肢と言えます。

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