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掲載日:2021年11月21日
法人向けクラウドストレージサービス、
DropboxとBoxの強みと比較のポイント
テレワークの普及、社外との共同作業、固定費の削減など、様々な理由によって近年クラウドストレージサービスが普及しています。
各社から多くのストレージサービスが提供されていますが、その中でもよく名前が挙がるのが、DropboxとBoxではないでしょうか。
どちらもクラウドストレージサービス専業の企業として存在感を発揮し、多数の企業で採用され続けているサービスで、信頼性、知名度共に非常に高いサービスといえます。
今回はこの2つのサービスについて、独立系ならではの強みとそれぞれの特徴、そして中小企業が選択する際に考えるべきポイントについてお伝えします。
独立系クラウドストレージサービスのDropboxとBox
クラウドストレージサービスには大きく分けて他サービスを行っているベンダーが併せて提供を行っているケースとクラウドストレージサービス専業で行っているケースがあります。
当然と言えば当然ですが、自社でグループウェアを展開している企業がクラウドストレージサービスを始めている場合に、他社のグループウェアと連動することは自社にとって機会損失につながります。
そのためどうしても社内での機能開発の優先度が下がり、結果としてあまり使い勝手がよくない状態になってしまうことが多いようです。
対して専業で行っているクラウドストレージサービスは、独立系の強みとして他サービス間での利害関係があまりないため、外部アプリとの連携が強いことが挙げられます。
他社としても連携を強めることで自社サービスの契約機会の創出にもつながるため積極的に開発を行うインセンティブとなるのです。
DropboxやBoxは専業ベンダーのリーダーとして、どちらのサービスもGoogleやMicrosoft、Adobeと言った主要サービスやプラットフォームなど、多数のベンダーとの連携が可能になっているのが特徴です。
個人やフリーランス、中小企業を対象として伸びているDropbox
Dropboxと言えば個人向けサービスとしての印象が強いのではないでしょうか?
無料で使えるDropbox Basicは2GBのストレージが利用可能で、友達や家族を紹介するとストレージのサイズが増えるプランです。
専用フォルダにファイルを入れるだけで、クラウド上のストレージとローカルのファイルを自動同期できるのが特徴で、複数の端末、デバイス間でも自動同期可能となりバックアップツールとして最適なのがDropboxです。
このDropboxも近年は法人向けサービスにも力を注ぎ、アクセス制限などの機能を追加しています。
ライセンスオンラインで取り扱う法人向けプランでは、1,500円/月(月契約/月払い)のスタンダードプランで5TBのサイズが利用可能となっており、その他にもファイルに直接注釈を付けてフィードバックできる機能や、議事録、todo管理など多彩な活用方法があるDropbox Paper、3段階の権限設定、無制限のバージョン履歴と削除したファイルの復元機能など組織内での活用に向けた機能・サービスを数多く提供しています。
※バージョン履歴の復元機能はDropbox Basic、Plus、Family のユーザーは 30 日間、Dropbox Professional
と Business のユーザーは 180 日間となります。
※バージョン履歴を延長できるアドオンもあります。
さらに、1ユーザーあたり2,000円/月となるAdvancedプランではガバナンス機能が強化され、より詳細な8種類の異なる権限を与えることができるようになる他、チームメンバーによる操作をファイルレベルで追跡できる監査ログ機能や管理者による代理ログインなども可能となってきます。
BtoC向けのユーザビリティを保ったままBtoB向けのセキュリティ、管理機能を追加しているため、使い勝手の良さは他と比較して高いサービスと言えるのではないでしょうか。
大企業向け・エンタープライズよりの印象が強いBox
Boxは法人における大規模な利用を想定しているためか、1,800円/月のビジネスプランからストレージ容量の上限がありません。
出張や営業先でのオフライン作業も想定されており、提供されているBoxSyncの利用でオフライン時に作業した内容も、オンラインになったら自動的に同期できます。
また、法人向けのセキュリティ対策が豊富なのも特長です。
中でもアクセス権限の設定機能はなんと7段階と、きわめて細やかな内部統制が可能で、作業者に応じて以下のような権限が存在します。
- <共同所有者>
フル権限ですべての機能が利用可能
- <編集者>
フォルダ設定などができないが共同所有者に次ぐ権限所持
- <ビューアー・アップローダー>
フォルダの編集権限はないが、ファイルのアップロード/ダウンロード、編集など作業者としての権限を持つ
- <プレビューアー・アップローダー>
ビューアー・アップローダーと権限は近いが、ファイルのダウンロードやコピーなどができない社外のパートナーなどが利用するような権限
- <ビューアー>
ファイルのダウンロードやコピーなどは可能だが、ファイルの編集などができないクライアントなどに向けた権限
- <プレビューアー>
ファイルの閲覧などに特化した、クライアント側管理者等の決裁者確認に最適な権限
- <アップローダー>
ファイルのアップロードなどに特化した、外部協力者からのデータ収集用の権限
他にも、アクセスログ保存機能で不正アクセスや情報漏洩対策が行えるほか、通知メール機能でファイルの意図しない変更に対応することも可能です。
さらには50世代ものバージョン履歴や、5GBのファイルアップロード容量も、ストレージ容量の上限がないことと合わさって非常に使い勝手が良い機能となっています。
DropboxとBoxで比較するべき観点
もし社内でDropboxとBoxの利用を検討する場合は、以下のような観点で検討を行う必要があります。
- コスト
利用する人数に加え、次項以降で求められる要求仕様を満たすのにどのプランが必要かを確認します。
- 容量
自社で現在使用している社内サーバやストレージサービスの容量を基に、必要な容量を確認します。
今後の売り上げ目標や採用計画なども念頭に置いて検討することが重要です。
とくにクリエイティブ業務を担う部門・チームでは、動画素材などは1本だけでも1GBを超えたりするので注意が必要です。 - セキュリティ
権限設定がどの程度必要か、社内/社外でどの程度共有が必要かなどを検討です。
外部パートナーや派遣社員に作業してもらう場合にどこまでお任せするかなども含めて考える必要があります。
細かく設定できるほうが使い勝手はよくなる一方、誰にどの権限を付与したかの管理も必要になります。 - ユーザビリティ
- <ユーザー>
ブラウザのみで良いのかオフラインのツールが使いたいのか、同期の速度はどの程度必要かなどを検討してください。
- <管理者>
アカウント管理が簡単かどうか、ロールバックが簡単か、サポート体制はどの程度してもらえるのかなどを確認してください。
- <ユーザー>
- マルチデバイス対応
デスクトップとノートPCの切り替えやタブレットでの現場確認など、業務上マルチデバイス対応がどの程度必要か確認しておきましょう。
- ガバナンス対応
アクセスログの監視やアクセス通知機能など、ガバナンスに関わる機能がどの程度必要かを情報セキュリティ方針に基づいて判断してください。
- 自社の業務フローとのフィット
その他自社の業務フロー上必要となる機能が満たされているかどうかを各部門にヒアリングしておきましょう
中小企業にはDropboxのユーザビリティとセキュリティのバランス感がおすすめ
2つのサービスを比較すると、当然それぞれに強みがあるものの、ライセンスオンラインのオススメは次の3つの観点から見てDropboxです。
- UIのわかりやすさ
導入後、全社的に利用を推進していくうえで、UIのわかりやすさは生産性を向上させるために非常に重要な要素です。
Dropboxは個人版をひろく普及させている点でも、使い勝手の良さについては一日の長があるといえます。
PCにインストールすることで通常のフォルダ感覚で使えるDropboxは、業務進行のうえでは導入したことをほぼ意識する必要なく、普段利用の延長線上で利用できるのが強みではないでしょうか。 - ガバナンスレベルを揃えた時のコスト感
組織としてある程度育ってきた中小企業では、成長と同時にガバナンス機能について意識を高める必要が出てきます。
Dropbox、Box両者ともにガバナンス機能はついていますが、権限設定の追加や監視ログの取得などについてはどちらも最安のプランからひとつ上がったプランでの利用となります。
この点で比較すると、ライセンスオンラインで購入した場合のDropbox Advanceは1ユーザーあたり2,000円/月(月契約/月払い)、対するBoxの同等機能をもつプランは3,000円/月と、コスト面で差が出ており、年間ではDropboxの方が1ユーザーあたり12,000円ものコストを抑えることができる計算です。
たとえば社員50人での利用を考えたとき、年間コストを60万円も削減できるのは非常にありがたい部分です。 - 管理・バックアップ体制構築の安心感
管理機能についてはどちらも管理ページを持ちその中で様々な管理を行えるため大きな差異はないといえます。
ただしバックアップ機能としてはDropboxの方が優秀で、Boxが50バージョンまでの保存に対してDropboxは期間内であれば無制限のバックアップと巻き戻しが可能になっており、ランサムウェア対策などの観点で考えても安心感があります。
これらの理由から、ライセンスオンラインではDropboxをおすすめしております。
最終的には自社のフローなども含めてご検討いただく必要はありますが、ご参考にしていただければと思います。
外部アプリとの連携性を重視するなら独立系クラウドストレージサービスを
独立系クラウドストレージサービスは自社サービスの一環としてクラウドストレージサービスを提供しているベンダーと異なり、利益相反が少ないため連携がしやすくユーザー企業としては扱いやすいサービスです。
Dropboxはツールでの機能拡張や自動同期機能などの使い勝手がよく、Boxはセキュリティ面での統制機能が充実し安心して利用することが可能です。
自社の業務フローやコスト、そして許容できるリスクなどと相談しながら最適なサービスを検討してみてください。